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しばらくの間、深は汗で光る艶めいた背中をぼんやりと見下ろしていたが、ゆっくりと顏を近づけると愛しそうに唇を押し付けたのであった。
いつもなら相手がシャワーを浴びに行った隙に手荷物などを調べるアザミだが、今回は目隠しと拘束がなされたままのため動けず、じっと待ち続けることにする。
ほどなくして脱衣所の方向から扉が開く音が聞こえたので、再び眠ったふりをした。
身支度を終えたらしき深が近づいてきて、ここでようやくアザミの目隠しと両手首の拘束が外される。
それから煙草の煙の匂いを漂わせ始めるもののアザミが起きる様子が無いと判断したのか、客室の扉が小さな音を立てた後、深の気配が完全に消えた。
しばらく息を殺していたアザミは慎重に室内を見回しながらベッドを離れ、不自由だった全身をシャワールームでリラックスさせていく。
頭の中に、あることが引っかかっていた。
たとえフェロモンの影響があったとしても、これまでの深のアザミに対する愛情さえ感じさせる言動から考えると、情事の後、真っ先に目隠しと拘束を外しにかかると思っていたのだ。
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