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登が産まれて1年が過ぎようとした頃、突然男が
「会社辞めた
次の仕事探すわ」
私は正直、こうなる事は予測していた。
それに、これからは家族4人で普通の生活が出来る。
しかし、年齢的に直ぐに仕事が見つかるのか?
私は、男を慰める為に
「仕方ないやん
早く次の仕事見つけないとね」
当たり前だが、それからは男が主夫の状態。
隣近所の目が有るから、なるべく家の周りはうろつかない。
40を過ぎて直ぐに仕事が見つかる訳も無く、無駄に日にちだけが過ぎる。
なのに、この男は全く危機感が無いかのように、のほほんとしてる。
前職の蓄えは有るとは言え、余りに気楽に過ぎる。
そして
「やっぱり、中古で家買ったのは正解やったな
世の中何が有るか分からんねんから」
この男の気楽さには反吐が出る。
「そうかも分からんけど、早い事仕事見つけてや
次の仕事は、絶対収入減るんやから」
この頃になると、夫婦の会話も殆ど無い。
1人で家庭を守っていた辛さより、今の状態の方が余程辛い。
破れ鍋に綴じ蓋とは言うけど、やっぱりこの男を選んだ事がそもそもの間違いなのか?
失業保険がそろそろ切れる寸前に、男は新たな仕事を見つけてきた。
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