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元々、大学進学時に借りたアパートだが、あまり荷物を持たない…千晴に取られる事にどこか慣れている部分もあったのか物欲がほとんどない晴香の荷物は、処分する家電やベッドを除けばキャリーバッグに入る程度の服と化粧品、それに数冊の本とフォトフレームの中の高校時代の友達と一緒に撮った卒業式の日の黒板前での写真と日用品くらいなものだった。
「明日、いらないものの処分とハウスクリーニングは、俺の方で手配しておく。晴香は、平日休める?」
「何?」
「住民票とか免許証や銀行の住所変更あるだろ?」
「そっか、手続きは平日しか出来ないものね。今週どこかで休めるか、明日聞いてみる。」
「一緒に行くから、休みの日が決まったら教えて。」
「でも、奏は仕事あるでしょ?」
「忘れた?俺は昨日、休日出勤したから、今週どこかで1日休まないといけないんだよ。」
晴香の顔を覗き込むように優しくそう言う奏に照れてしまう。
「あ、ありがとう。じゃあ、同じ日に休めそうならお願いするね。」
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