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出勤して、弘隆に会わないかと心配したが杞憂に終わり、いつも通り定時で上がれた。
カバンにしまっていたスマホを見ると奏からアパートのハウスクリーニングと家電や家具の処分と管理会社への退去連絡をしたとメッセージが入っていた。
仕事が忙しい合間に晴香のアパートのことを片付けてくれた事の感謝を送り、いい気分になっていた晴香は、他のメッセージが入っていたため、警戒せずについ開けて既読を付けてしまった。
千晴から、1ヶ月後の土曜日に弘隆との婚約の両家の食事会に出席するようにとのメッセージだった。
交際中に弘隆の家に遊びに行ったこともある。晴香が同席したら交際相手が姉に変わった事を弘隆は、家族になんて言うのだろう。
姉妹に二股かけて、条件のいい方を選んだとでも言うのだとしたら、笑うしかない。
千晴と結婚すれば、入り婿かマスオさん扱いになるだろう弘隆は、父の会社を訪ねて受付嬢の千晴と知り合ったらしい。中規模とは言え、可愛らしい社長令嬢は、色んな意味で魅力的だったんでしょうね。
まさか3年付き合っている彼女の姉とも知らずに…
それでもホテルで捨てられた時や実家で紹介された時より弘隆のことを冷ややかに見れるのは、奏の存在が大きい。
例え仮初めの関係でも奏がいなかったら、晴香はいまここにいなかったかもしれない。
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