3558人が本棚に入れています
本棚に追加
奏の笑顔に千晴と母が、頬を染めてうっとりとし、弘隆が苦々しい顔になるなか、父は晴香に尋ねて来た。
「晴香、何も聞いていないぞ。」
「お父さん。今日、私はここで月島家と縁を切らせて欲しいです。」
晴香のいきなりの発言に父は、握りしめた手をプルプルと震えさせている。
「どういう事だ。」
「お父さんは、仕事ばかりで何も知らない顔をしていたけど、お母さんは私に何もしてくれず、学校の用事はお手伝いさんが全部代わりにしてくれてた。
高校の費用も自分でバイトして払ってたし、大学も奨学金借りたりバイトして卒業したの。
千晴には、子供の頃のおもちゃに始まり、彼氏もただの男友達も取られたし、そこにいる弘隆だってそう。
今日、あちらのご家族が微妙な顔をしていたのは、私と会った事があるから。
私は、3年付き合った弘隆に捨てられた後、奏に救ってもらったのよ。
戸籍から外してくれて構わない。月島の財産権も放棄するから、私を自由にして。」
言いたい事を全部言って、泣き崩れそうになる晴香の肩を抱き、奏はまっすぐ冷ややかな目で晴香の家族を見た。
「これから晴香の面倒は、私が全てみます。今日は、そのためにご挨拶に来ました。今後の事は弁護士を通してのご連絡になりますので、これで失礼します。」
最初のコメントを投稿しよう!