バラの花束なんかいらない

おまけ

バレンタインの贈り物　☆奏視点

「社長、どうかされましたか。」

　秘書の久川さんの声に我に帰る。

「いや、今日のバレンタインフェアの方は、どうだ？」

「ほぼ完売です。」

　クリスマスのようにバレンタインに食事やホテルでの時間を過ごすという企画は、女性が主のイベントでは、厳しいかと今年は、女子会プランをメインのフェアを行うことにした。

　美味しいチョコとパジャマパーティーを楽しむ女子会に重役の中から反対意見も出たが、現場の女子社員からは、いい感触を得てGOサインを出した俺の復帰後、そして社長になって最初のイベントだ。

　事故による怪我から復帰して、杖をつく総支配人は、役に立たないだろうと兼務が解かれると思っていたら、クインホテル代表取締役社長という決定だった。

　まだまだ若輩者だし、いくらなんでもと思ったが、リゾートホテルの企画が俺の入院中もみんなの頑張りで進められていて、その実績も評価されたからと両親から受けるように言われた。

　今までより座っている時間が多い事は助かるが、運動不足は否めない。

　リハビリという名の筋トレを増やした方がいいかと考えているとプライベート用のスマホが鳴った。