知らないはずの人

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「腹が減ってないか。簡単なもので良ければ作るけど。」  かなたが、リビングに誘うが何も着ていない晴香は、ベッドを降りることに躊躇した。 「何か着る物ない?」  ようやく晴香が着替える服のない事に気付いたかなたは、一度、部屋を出て行くと大きなTシャツを手に戻って来た。 「これでいいか?」 「ありがと。」  大きなTシャツは、晴香が着るとワンピースのようだった。  とりあえず下着も付けずに着たため、ちょっと心許ないがブラとショーツは洗いたい。 「洗濯してもいい?」 「洗濯機は、バスルームの手前にあるよ。そうだな。とりあえず下のコンビニで下着買ってくるか?」 「ありがとう。待っている間に朝ごはん作るね。」 「料理、得意?」 「凝ったものは作れないけど、家庭料理なら。」  弘隆に喜んでもらいたくて、一生懸命作っていた事を思い出して泣けて来た晴香をかなたは、優しく抱きしめてくれた。  しばらくそうしていて、晴香が落ち着いたのを確認するとかなたは、コンビニに出かけて行く。  ひとり残った晴香は、冷蔵庫から卵とチーズを取り出し、オムレツを作り始めた。
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