16歳3か月

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真仁が自宅に帰ると、父親の昌孝がすでに帰宅していた ここ最近は仕事が忙しいようで、深夜に帰宅し、早朝に出勤することが多かった 「なんだか久しぶりに家族の顔見た気がする。真仁、元気だったか?」 昌孝は風呂上がりに、お気に入りの海外の瓶ビールをあおっていた 「普通」 「普通ってなんだよ」 昌孝はダイニングテーブルにつくと、美央が用意したつまみを食べた 美央がキッチンから真仁に声をかけた 「着替えたら降りてきて。ご飯にするから」 「わーった」 真仁が2階に上がろうとすると 「あれ?お前、なんか食べてきた?」 昌孝が、真仁の制服についたお好み焼きの臭いに気がついた 「そうなの?」 美央が顔を覗かせた 「うん、友達んちのお好み焼き屋でちょっと食ってきちゃった」 「えー?ご飯入る?」 「大丈夫」 「制服、クリーニングに出すから洗面所においておいて」 「わーった」 真仁は2階の自室で部屋着に着替えると、また下に降りてダイニングテーブルについた 今日はエビチリと棒々鶏と酸辣湯だ 「久々の美央の飯!いただきます」 昌孝が言った 「いただきます」 真仁もそれに続いた 美央の料理は相変わらずおいしかった 結局、お好み焼きをほとんど食べなかったせいか、いくらでも食べれそうだった 「なんていうお好み焼き屋さんなの?」 美央が最後に自分のビールとグラスを持って席についた 「にじゅうまるっていう」 「どこ?」 「シモキタ」 「へ~あなたにそんな友達がいたんだ」 「中等部から一緒のやつなんだけど」 「へ~今度家に連れてきなさいよ」 「ヤダ」 「男子はかわいくないねえ」 昌孝が美央の横で首を振った そうは言ってもかわいがってくれるのが昌孝だ 小さい頃はそれこそ毎年のように、夏になればキャンプや海、冬になればスノボや温泉に連れていってくれた 遊びも仕事もセンスがよく、周りを巻き込んで波紋を広げていく 生まれながらのインフルエンサー 息子である真仁から見ても、昌孝は自慢の父親だ この父親が自分の父親でない可能性があるのか 母親が、何かを秘密にしてる? それとも二人とも? 二人でビールを飲みながら談笑している仲のいい夫婦を眺めながら、真仁は身震いするしかなかった
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