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お風呂に入って部屋に戻ると、真仁は今日3人で作ったグループラインにメッセージを送った
珍しくGWに休みを取れた父親が、久々にキャンプに行こうと言うので、部活の半日練習のあと遊べなくなったことを告げた
すぐに既読がつき、続けざまに【了解】のスタンプが届いた
naru【どこ行くの?】
マサヒト【近場で千葉。1日部活休むことになるわ】
naru【いいな~】
まつれん【お土産よろしく!】
スマホを放り投げて、ベッドに横になり、美央から借りた母子手帳を開いた
びっしりと小さい字で、真仁の成長の記録が書かれている
真仁はページを遡って妊娠時の記録も読んでみた
【お腹蹴る】
【性別不明】
【男の子がいいな】
思わず笑みがこぼれた
さらに遡る
【夜つわりひどい】
【口にできるもの→野菜スティック、フライドポテト、トマト、アイス】
【ダメなもの→ご飯、お茶の臭い、香水・芳香剤の臭い】
母親になるって大変だな、と素直に感じた
その時、ある違和感に気づいた
真仁は、妊娠中の記録と、出産後の記録を見比べた
――字が違う――
真仁は起き上がって、改めて文字を見比べた
出産後の文字は見覚えがあった
料理教室の黒板に書かれたメニューの文字と同じ、美央の文字だ
しかし、妊娠中の記録の文字はあきらかにそれとは違う
表紙に書かれている名前も、母親の字ではない
どちらも上手だと思うが、母親の字が丸みを帯びていて可愛らしいのに対し、もう一方の字は止めや払いがしっかりしていて力強く、大人っぽい
(確信した。俺は父さんの子でもなければ、母さんの子ですらない)
真仁は母子手帳を握りしめた
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