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食事を終えて部屋に戻り、入浴の支度をしていた時だった
「成、行くよ」
「うん、ちょっと待って」
「どうしたの?」
成がずっとリュックを漁っているのを不審に思った夢と茉里が声をかけた
「いや、下着入れてあったポーチがなくて…」
「え?忘れたの?」
「そんなはずは…」
「わたしたちも探すよ」
茉里は部屋の中を探しながら、他のクラスメートにも聞いてくれている
夢は成の荷物を広げて一緒に探した
「どうしたの?」
女バレのメンバーが声をかけてきた
成はその声にドキッとして、顔を上げることができなかった
「ちょっと、忘れ物したみたいで…」
うつむいたまま話すのがやっとだ
女バレのメンバーたちは、成が怯えている様子に追い討ちをかけるかのように、
「ふーん。男のことばかり考えてたからじゃない?」
「ピンクのレースとか、あざとすぎでしょ」
「ほんとそれ」
そう言って、笑いながら去っていく女バレのメンバーたちと成の様子を見ていた夢が口を開いた
「とりあえず、先生に言いに行こう。わたし、予備持ってきてるから貸してあげるし」
成はうつむいたままうなずくしかなかった
担任の葉山には言いづらかったため、同行している養護の女性教諭に話した
「あ、あれ、小室さんのだったのね。私が預かってるわよ」
養護教諭があっさりと言った
成がホッとしたのもつかの間、
「さっき、男子たちが届けてくれたの。男風呂の脱衣所に落ちていたんだって」
そう言ってナイロン製のポーチを出した
「あっ」
「なんで男風呂にあったのかはわからないんだけど…」
成は恥ずかしくてじっとうつむくしかなかった
「先生」
夢が口を開いた
「わたし、それを男の子のお風呂に置いたひと、知ってるかもしれないんですが」
成は夢を見た
夢はまっすぐに養護教諭の顔を見て、成の視線に気づく様子はない
「どういうこと?」
先生が怪訝な顔をした
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