16歳3か月

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「何話してたの?」 「血液型の話だよ。今日献血車のプリントもらったろ」 「あー、あれね…ねえ、献血やるフリしてさ、さぼっちゃおうよ」 「いや、無理だろ。事前に希望者聞くって言ってたし」 「真仁のそういうところ、ホントつまんない」 陽依がそっぽを向いた 「俺はお前のそういうところがキライ」 陽依は立ち止まって何か言いたげだったが、真仁が構わず先に行ってしまうので、あわてて追いかけてきた 付き合い初めて半年くらい経ったが、正直なんで付き合っているのか、真仁にはわからなかった 告白されて、かわいいから付き合った、けど… (なんか違うんだよなあ…) 一方で、こんなものだろ、と思う自分もいた 付き合ったのは陽依で二人目だが、真仁くらいの歳になれば、クラスの半数くらいは交際経験があるか、交際中かのどちらかだ ステータスの確保のためには、陽依は最適な彼女と言える 顔はかわいいし、スタイルもいいし、制服もおしゃれに着こなし、友達も派手なやつが多い 真仁も自分で言うのはなんだが、そこそこまあまあなルックスだと思う 背が高いのが強み、あとは運動神経がいいこと 成績もそこそこまあまあ 自然とそれなりの友人ができる 運動部には元々自信家で目立つ生徒が多いのも理由のひとつだろう 真仁は一人っ子だし、大切に育てられてきたと思う 母親は自宅で料理教室を開いているが、時々料理雑誌などにも取り上げられることがあるくらい有名だし、父親は空間デザイナーとして活躍している 容姿や地頭のよさなどの、持って生まれた素質と、家庭や教育環境により、自ずと自己肯定感が育まれていった結果だ 「真仁は冷たいよね。わたしのこと本当に好き?」 (まためんどくさいのが始まった) もう潮時かもしれない 陽依がこうしてすねるのはしょっちゅうだ 最初の頃は、向こうから告白してきたこともあってか、気遣いもみられたし、こんな試すようなことはしはなかった 素直で、明るく、かわいかった だから時間をとってデートもしたし、手を繋いだり、キスもした 女ってのは… いや、違う これは彼女のパターンなのだ 付き合うまではいいのだろう 彼女は明るくてかわいいから 大半の男子は、好意を寄せられたら試しに付き合ってみようと思うだろう 付き合うことには成功する だが、その先の人間関係を築くことができないタイプ もしくは、自分ではできたと勘違いしており、それがうまくいかなくなったとき、壊したのは相手だと思うタイプ それを指摘してくれる友人や恋人がきっといないのだろう だからいつまでも孤独で、不安で、こうして人を試すのだ 中学のときに付き合っていた女子も同じだった 世間にはこういうタイプが多いのか、自分が寄せ付けてしまうのか だから甘やかすことはしなかった 彼女が愛されていることを確認しようとしても、無視していた 付き合うのがめんどくさかったから それは自分の役目じゃないから 一度やってしまえば、何度も何度も同じことを繰り返し、その時に満たされるのは陽依だけで、自分は搾取されるだけなのだと、真仁は本能的に知っていた 無視し続けると、そのうち陽依の方から謝ってきて、真仁の方からキスして終わり でも… 「お前がそう思うなら、それでもいい」 もう飽きた
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