16歳4か月

7/12
前へ
/85ページ
次へ
「大塚さん!」 成の大きな声で、夢が振り向いた 「ありがとう。でも、もう見つかったから…」 夢は一瞬、驚いたような表情を見せたが、 「小室さんがそれでいいなら」 と口をつぐんだ 養護教諭も察したらしく、「何かあったらすぐに相談に来るのよ」と言った 「ごめん。大塚さんは探してくれてたのに…」 廊下を歩きながら、成が謝った 「あれ、女バレの子たちがやったんだよね?」 夢が立ち止まった 成はイエスともノーとも言えずに固まった どちらに首を振っても、どちらかを裏切ることになるからだ 夢はため息をついた 「事情があるんだね」 この時、他の言葉を返されていたら、成は話せなかったかもしれない だが、夢の言葉には、成の立場を思いやる優しさがあった 「班決めのときに、私がさっさと他の人と組んじゃったから、怒ってるんだと思う」 「そうか。じゃあ、研修が終わったら終わるかもしれない?」 「もしかしたら」 「わかった。研修中はなるべく一緒に過ごそうね」 夢はニカッと笑った 成はその時初めて夢の八重歯に気がついた 「いたいた!あった?」 茉里が廊下を駆けてきた 「ありがとう。先生のところに届いてた」 「えー?!下着とか超ハズいじゃん。でもあってよかったね」 茉里が息を整え 「早くお風呂行こう」 と成を引っ張った 「うん」 ようやく3人でお風呂に行ける 時間は消灯の30分前だった
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加