13人が本棚に入れています
本棚に追加
(俺も疲れた。お前は気づいてないんだろうけど)
今時の話題に豊富で、共通の友達も多く、時にはバカみたいに騒いで、休みの日にはカラオケかゲーセンかライブに行って、週に一度、放課後にどちらかの家でセックスをする
セックスしているときの陽依がかわいいのは認めるが、それだけなら別に彼女じゃなくてもいい
真仁は振り向きもせずに歩きだした
次の瞬間には
(部活いくか)
と体育館の方向に向かっていた
「ごめん…ごめんってば」
パタパタとサンダルの音を響かせながら、陽依が駆け寄ってきて、真仁の横に並んだ
「怒った?謝るから、許して」
(謝るのは俺だろ)
真仁が立ち止まると、陽依が安堵の表情を浮かべた
「何を謝るの?」
「え?」
陽依の表情が固まった
「謝ることなんてなくない?」
「だって…私が変なこと言ったから怒ったんじゃないの?」
「変なことって?」
「だから…サボろうとか言ったこと。真仁、そういうのキライだもんね」
「それはちゃんと俺の考えを伝えて終わったことだよ」
「はあ?じゃあなんなの?!わけわかんない!」
急にキレるのも彼女のパターン
「俺はこういう不毛なやりとり、心底嫌いだし、無駄だと思ってる。俺はカウンセラーでもボランティアでもない」
「意味わかんない!ボランティアはこっちだっつーの!ワケわかんないこと言って、キモいんだよバーカ!」
陽依自身も、真仁に物足りなさを感じていたはずだ
いつまでたっても自分を満たしてくれないのだから
陽依が鞄をぶつけてきた
「いってーな!」
「知るか!お前の方がイタいよ!」
廊下を歩いていた生徒たちが振り返ったり、立ち止まったりして二人を見ている
中には友達を呼びに走り出す生徒もいた
(まずった)
真仁は陽依に叩かれるままにしていた
最初のコメントを投稿しよう!