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「面白いことになってるぞ!」
陸上部のメンバー数人が、体育館に飛び込んできた
『マジマジ、丸瀬と霧島がチワってんの!丸瀬のブチギレ具合が半端ないから!早く行こうぜ!』
よりによって現場は、本校舎から体育館がある別棟に向かう1階の渡り廊下で、グラウンドからも丸見えのところだ
ましてや、その渦中にいる人物は、男子バレー部の部員だ
女子バレー部には、真仁に好意を寄せている者も多い
わらわらと体育館から生徒たちがあふれでてきた
成も、怖いもの見たさで後からついていった
人だかりの後ろの方から様子を伺う
「何?何?全然わかんない」
「26組の霧島と24組の丸瀬だって」
「え?!修羅場じゃん」
人だかりの隙間から、棒立ちしている真仁の横顔が見えた
声が聞きたいが、周りのざわめきにかき消されて聞こえない
中には
「やった!別れちゃえ!」
「あんた霧島先輩狙ってたっけ?」
「丸瀬先輩がいなくなればアリでしょ!」
と言う会話も聞こえた
アリ…なのかな
あれを見てもそう言えるなら、みんなどれだけハートが強いんだろう
成は心臓が痛くなった
ずっと好きだった、ずっと
中2で、初めて同じクラスになったときから
だから、例え両思いになれたとしても、別れるときにこんなに否定されるなら、両思いになんてなりたくない
「霧島くん振るとか、さすが丸瀬さんだよね~うちらにゃ雲の上の話だわ」
部室から出てきた文化部の女子たちの話し声も聞こえた
(真仁が振られてる?違うでしょ、あれは)
隙間からだがはっきり分かる
真仁には、陽依の罵声など届いていない
はなからどうでもいいのが見え見えで、むしろ顔を赤くして真仁を罵る陽依を見ているのが辛い
成は野次馬から抜け出して体育館に戻った
成が戻ってしばらくすると、少しずつ生徒たちが戻ってきた
騒動が終わったのだろう
男子バレー部の部員たちに囲まれて、真仁もやってきた
「教えろって!」
「で?別れたの?別れたの?」
部員たちが、よってたかって、真仁をからかっている
「うるせえなあ。コモン呼ぶぞ!」
真仁が部員たちを追い払った
部室に向かうのか、体育館の端を歩いてきたところで、スポーツドリンクを飲んでいた成と目が合う
「来たんだ」
「おう」
真仁はぶっきらぼうに言うと、部室に入っていった
成は入れ替わるかのように、コートに戻っていった
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