16歳3か月

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最後に献血を受けた隣のクラスの生徒が、左腕を押さえなかは6組のドアを開けた 「次、6組だって」 「では、出席番号20番までで、希望を出してる者は行ってください」 古典の先生に言われて、数人が席を立った 真仁と成もそのなかにいた 「なんか緊張するな」 献血を終えて帰ってくる他クラスの生徒を横目で見ながら真仁が言った 「私も初めてだからなあ。あ、血液型わかったら教えてよ」 「えー?どうしようかな」 「ケチ!」 献血車は、職員用玄関の脇に止まっていた サンダルのまま来られるように、車まですのこが置かれていた 先に着いた生徒から、献血車のなかに入っていく 献血車の中は意外と広く、3台のリクライニングチェアが置かれていた その手前で問診と、血液サンプルを採るブースがある 「クラスと名前をお願いします」 中年の看護師が聞き取る 「26HRの霧島真仁です」 真仁は緊張した面持ちで座った 「霧島くん、念のため生年月日も聞いていい?」 「2004年1月7日です」 「体重は…っと」 看護師は真仁の体格を見て 「うん、OK」 と問診票に○をつけた 問診票には、あらかじめ身長と体重を記載してある 「血液型はわからないのね。じゃあちょっといい?」 と真仁の腕を出させた 「うん、弾力があって、いい血管」 看護師はそう言って、右腕に注射針を刺した 採取した血液で、採血に適しているか見るのだが、 「問題なしだね。あと、君はO型だよ」 今日初めて知った自分の血液型― リクライニングチェアに腰かけると、管のついた針を刺された 隣にはすでに成が座っていた 「血液型わかった?」 「うん」 「教えてよ」 「やだ」 成は今度はケチと言わなかった
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