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成城学園前駅から徒歩で15分ほどのところにある自宅に帰ると、母親が料理教室の後片付けをしていた
1階がスタジオ風のキッチンになっているこの家は、真仁が小学6年生のときに購入した
正面から、レンガ敷のアプローチを奥に進むと、文字通り猫の額ほどの大きさだが一応庭があり、庭に面して玄関がある
「ねえ」
「先にただいまって言って」
「…ただいま」
母親の美央は、50になる
息子の真仁が言うのもなんだが、若々しくて美人だ
人と接する仕事をしているからか、いつも身綺麗にし、化粧だけでなくハンドケアをはじめとしたボディケアも怠らない
「はい、おかえりなさい。早いわね。部活は?」
「今日献血したから」
「学校で?」
「そう」
「そんなことするんだ」
美央は、食器を片付けながら話した
「ねえ、いま学校で血液型の勉強してるんだけど」
「あれ?それって中学でもやらなかった?」
「そうだっけ?」
美央は教室の冷蔵庫からレモン水が入ったピッチャーを出し
「飲む?」
と聞いた
「うん」
「それで?」
美央は、グラスにレモン水をいれると、ピッチャーの残りを捨てた
「自分と、親の血液型調べてこいって」
「ふーん。あなたが何型か、お母さんも知らないのよねえ」
「産まれた時とかにわからないの?」
「今はあえて教えてはくれないかな」
美央は苦笑いをした
「あなたは怪我とかもしなかったし。献血でわかった?」
「うん。Oだって」
「そうだったんだね。じゃあお母さんと一緒だね」
美央が微笑んだ
「父さんは?」
「えー!Bだったかなあ?」
「なるほど」
真仁はレモン水を飲み干すと、2階への階段を上がった
自室に入って制服を脱ぐと、真仁はベッドに横になって天井を見つめた
母が嘘をついた
真仁は以前、父親の免許証を見せてもらったことがあった
小学生のときだ
裏面にドナー登録のシールが張ってあって、そこには確かにAB型とあったのだ
AB型からは、相手がどの血液型であってもO型は産まれないはずだ
(俺の理解力が正しければ)
明日、成に確認しよう
真仁は目を閉じた
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