16歳3か月

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「子供が親の子供じゃない証明」 「逆じゃなくて?」 成がすかさず聞いた 地頭がいいのだろう。受け答えへの反反応(レスポンス)がいい 「ドラマとかでは、戸籍がどうとか言ってるときあるけどな」 松山が言った 「戸籍謄本?」 成が聞いた 「それかな?養子とか書いてあるやつ…」 成は相槌を打ちながら 「あとはDNA検査じゃない?一番確実でしょ」 「だな」 DNA検査はお金がかかりそうだから保留にして、戸籍謄本は現実的だ すると成が、 「母子手帳とかは?ほら、中学の時に、新生児訪問?みたいの行ったじゃん。その時、前もって授業で育児のこと勉強してさ、班の一人が母子手帳を親に借りてくるってあったじゃん?うちは深沢ちゃんが持ってきてくれたんだけど、養子だったら、それに何か書いてあるんじゃない?」 そういえば、そんなこともあった 真仁はお好み焼きをつついた もんじゃ焼きもでき上がりつつある だが、真仁の箸は進まなかった 成と松山は、真仁の食が進んでいないことに気がついていないのか、二人でほとんど食べてしまっていた 真仁に残されたのは、鉄板の上の6分の1切れだけだった 「でも父親が違う場合って、そういうのには残らないよなーてか、隠すよな。それが一番確率高そう、で、怖い」 松山がぶるぶる震えるマネをした 「確かに」 成がうなずいた その時、何かを思い付いたように 「それか普通に親に聞くのは?少なくとも母親は、自分の子供かそうじゃないかは絶対知ってるし、父親が違ったとしても、母親だけは知ってるはずじゃん」 シンプルだけど、目からうろこだった 母親に聞く? 『俺は本当に親父とお袋の子供ですか?』って? そんなことを聞いて、もし母親が思っていたのとは違う反応をしたらどうするんだ? 一番シンプルなのに盲点だったのは、怖くて絶対できないから、端から除外していたためだ 3人は店を出た 成は、店の脇にある階段を上って、2階と3階にある自宅に帰ることになる 成の母親は忙しそうで、代わりに厨房から成の父親が顔を出した 「ごちそうさんッス」 真仁と松山は揃って頭を下げた 挨拶も部活で仕込まれている 「これから家で夕飯だろ?お腹大丈夫?」 「余裕ッス!」 松山が人懐こく笑い、胸を張った 真仁も隣でうなずく それにしても― 成の父親から、何か言いたげな気配を感じるのは気のせいだろうか 真仁は思った 時々、厨房から様子を窺っているのがわかった それだけなら、娘が連れてきた友達が、娘とどういう関係なのか気にしてるだけとも言えるが、真仁と何度も目があい、その都度、我に返ったかのようにいそいそと仕事に戻る姿が気になった 「あの…俺の顔になんかついてますか?」 真仁は思い切って聞いてみた あー、と父親は頭を掻いた
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