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――俺、全のうちの子になる!  電子音が響き渡り、ぱちりと目を開ける。今日は約束の土曜日。どうせ今日も早くからチャイムが鳴り郁人がやってくるだろう。そう思い少し早めに目覚ましをセットした朝の七時。休みの日なんだから本当ならもっと長く寝ていたい。 「・・・・・・にしても。随分懐かしい夢見たな・・・・・・」  目を開ければたちまちに薄れていく夢だが、それが昔実際にあった出来事だった。だから、言葉も全部鮮明に覚えている。  郁人がまだ小学三年生の頃。出会って二年ほど。その頃にはもうすっかり俺に懐いていた郁人は、その日も土曜日で朝早くから突然訪ねてきて泣きながらそう言って抱きついてきた。  全のうちの子になる。それまで、そんな事一言も言ったことはなく、そんな風に泣くのも初めてだった。だからこそ俺は、狼狽えどうすればいいのかと慌てふためいた記憶が鮮明だ。  結局泣き疲れて眠るまで側にいて、眠った頃を見計らい施設に連絡を取った。なにかあったのではと気になったからだったがそれは正解で、同じ施設の子が、里親制度により引き取られていったのだという。郁人は、自分は絶対にどこにもいかないと叫んで飛び出して言ったのだと聞かされた。
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