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「全、おはよー」
「おー。お前は本当に朝から元気だな」
「全は寝起きって感じだね」
「何時だと思ってんだ。サラリーマンの休日の楽しみを奪いやがって」
ぶつくさと文句を言いながらも中に招き入れ、とりあえず顔を洗って目を覚ますかと洗面所に立つ。
「俺も手洗ってい?」
「ああ、先どうぞ」
くわっと一つ大きな欠伸をしながら隣に避け、ぼんやりと郁人の動きを眺める。背もずいぶんとでかくなった。もうすぐ俺、追い抜かれんじゃねぇの。あんなに小さかったこいつが、すっかり大人の男に足を踏み入れようとしている。月日の流れを感じる。
「そんなジロジロ見られたら恥ずかしいな」
「はあ? アホか。でかくなったなって感心してたんだよ」
「俺、多分まだ伸びるよ。この前の健康診断、去年より五センチも伸びてた」
「マジ? うわ。やめろよ。顔もよくて背も高いとか、なんかムカつく」
「なにそれ。全、俺の事かっこいいって思ってくれてるんだ」
「あのな。一般論だっつの」
郁人は、所謂イケメンって奴だ。男の俺から見ても、かっこいいと思うくらいに整っている。クシャッとした笑顔は、本当に格別・・・・・・って、何考えてんだ。
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