3/6
前へ
/296ページ
次へ
「全、おはよー」 「おー。お前は本当に朝から元気だな」 「全は寝起きって感じだね」 「何時だと思ってんだ。サラリーマンの休日の楽しみを奪いやがって」  ぶつくさと文句を言いながらも中に招き入れ、とりあえず顔を洗って目を覚ますかと洗面所に立つ。 「俺も手洗ってい?」 「ああ、先どうぞ」  くわっと一つ大きな欠伸をしながら隣に避け、ぼんやりと郁人の動きを眺める。背もずいぶんとでかくなった。もうすぐ俺、追い抜かれんじゃねぇの。あんなに小さかったこいつが、すっかり大人の男に足を踏み入れようとしている。月日の流れを感じる。 「そんなジロジロ見られたら恥ずかしいな」 「はあ? アホか。でかくなったなって感心してたんだよ」 「俺、多分まだ伸びるよ。この前の健康診断、去年より五センチも伸びてた」 「マジ? うわ。やめろよ。顔もよくて背も高いとか、なんかムカつく」 「なにそれ。全、俺の事かっこいいって思ってくれてるんだ」 「あのな。一般論だっつの」  郁人は、所謂イケメンって奴だ。男の俺から見ても、かっこいいと思うくらいに整っている。クシャッとした笑顔は、本当に格別・・・・・・って、何考えてんだ。
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!

367人が本棚に入れています
本棚に追加