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 顔を洗い歯を磨いてリビングに戻る。郁人はリビングでせわしく動いていた。 「全、どうせ朝ご飯まだなんでしょ? 朝ご飯作ったげる」 「さんきゅ」  十四も下の高校生の子どもに飯を作って食べさせてもらう俺って・・・・・・、っていうのは考えないようにしている。これも、郁人の自立のためだ、なんていいように考えたりして。高校を出ると、郁人は施設を出ないといけない。大学に進学するのか、それとも働くのか。郁人は、どうするのだろうか。  どこまで踏み込んでいいのか。それは出会ったころからの悩みだ。リモコンでテレビをつけ、ソファに腰を下ろしながらチャンネルを変えるが、朝も早いこの時間はあまり興味がある番組はなくニュース番組に落ち着いた。 「郁は食って来たのか?」 「全と一緒に食べようと思って、食べてない」  食べてない割には元気で、若いっていいな。俺なんか、三十にもなると仕事の疲れがなかなか取れなくて朝からそんなテンションあげられない。  郁人が作ってくれたのは、ウインナーサンド。中にキャベツも入ってケチャップがかかっている。あとはコーンスープ。これはインスタントのものだろう。
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