367人が本棚に入れています
本棚に追加
「ったく」
微睡の中で、呆れた様な呟きが聞こえた。その後人の気配がグッと近づいてきたような感覚。でも、もう俺は瞼一つ動かすのも億劫で、このまま眠りたい気持ちなんだ。真壁がもしかしたらベッドにまで運んでくれる気かもしれない。ラッキー。今度ちゃんとこの埋め合わせは、必ずするからなぁー。
「ちょっと」
真壁しかいないはずのこの場に第三者の声。誰だ。聞き覚えのある声。そう思ったけど、もう本当に瞼も開けられないし、もう眠ってしまいたかった。
「なにしてるんですか」
「なにって・・・・・・。それはこっちの台詞だけど。高校生が出歩いていい時間じゃないだろ」
「・・・・・・あんたに関係ない。あとは俺がベッドに運ぶし、あんたは帰ったら」
「ここまで飲ませた責任は俺にある。お前こそ、子どもはさっさと帰って寝な」
「子ども扱いすんな」
「現に子どもだろう」
繰り広げられる言い合いに、止めないと、という気持ちは生まれるが、その頃にはもうすっかりと睡魔には勝てず、眠りの底に落ちて行っていた。
最初のコメントを投稿しよう!