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「張り切って、作りますよ!」 「やった」 「その間に、全はお風呂の用意お願いね」 「任せとけ」  基本的に料理は俺の担当、後の家事はできる方がやるって感じに決めている。二人暮らしを始めたあの高校卒業したころは、全部俺がやるって張り切ってやってたけど、やっぱりそんなのは続かなくて。自分の仕事でヘロヘロになった俺は家の事にも手が回らず、それでもちゃんとやりたくていっぱいいっぱいになってた。そんな俺に、家事は分担しようって切り出してくれたのは全だ。  しばらくは、俺の意向を汲んで黙ってくれていたみたいだけど、見かねてしまったらしいが、俺にとってはなんだか急に肩の荷が下りたみたいに軽くなって、できることはやって、できない所は全と協力すればいいんだってなんだか目からうろこみたいな衝撃だった。今考えれば、なんで気づかなかったんだろうって思うけど。全と暮らせるってことが嬉しくて、張り切り過ぎていたんだろう。  今でも、全の世話を焼きたいって気持ちは消えてない。だから基本的に家事はやってしまうけど、時々こうして全に頼ると、全も嬉しそうに引き受けてくれるし、俺が本当に忙しくて帰れない時なんかは、いろいろ済ませて待っててくれる。  本当にできた旦那様だと思うのだ。
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