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呼ばれて階段を上がって部屋を覗く。眠たげに布団を出して横たわった全が、気だるげに両手を広げる。
「なに?」
「昨日、一人で寝て寂しかったから。補充」
「ふふっ、なにそれ」
時折甘えてくれるようになった全に、駆け寄って抱きつくように一緒に寝転ぶ。
「コンビニ弁当は味気ないし」
「またコンビニ弁当に頼ったの?」
「料理は、郁と一緒の時にしかしないって決めてんの」
「なにそれ」
「失敗しても、一人じゃ虚しいだけだろ」
一緒に暮らし始めてから、休みの日に時々一緒に料理を作るようになった。それでも、全の料理の腕はからっきしで、もうこれは才能の問題だって全は諦めてるし。でも、一緒に作るのは楽しいっていうから続けてるんだけど。それでも簡単なものなら、全だって作れるようになったのに、俺がいないと相変わらず全は、不健康な食生活に頼り切りだ。
「郁といれば、失敗しても一緒に笑い話にできるじゃん」
「うん」
「それが楽しいから、やってんの」
全、眠くて寝ぼけてるんだろうな。普段、こんな風な事言わないのに。なんだか可愛い。
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