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『拝啓 愛しいお爺様 体調など崩されておりませんでしょうか? 私は春より大学に通い、勉学に勤しんでおりますが、空より舞い降りた愛らしい姫に恋心を抱きました。 その方を想うと、私の心は乱され、呼吸が出来ぬほど苦しくなります。 どうぞ、私の泡沫の恋を見守ってください。                  天王寺 尚人』 この手紙が届いたのは一年ほど前。 それから、幾度となく可愛い孫との手紙のやりとりをしていたが、尚人の手紙にはいつも『姫』と呼ばれる者の名が綴られ、そこには愛が満ち溢れていた。 文面から溢れ出る想いは、優しさと嬉しさと、幸せいっぱいだった。 見守って欲しいと頂戴した最初の手紙から、徐々に愛しい人との距離を縮めていく手紙の内容に、お爺様こと、天王寺グループ会長の天王寺(はる)(ひさ)は、『姫』と呼ばれる愛らしい者会ってみたいと思うようになった。 目に入れても構わないほど可愛い、可愛い孫が、そこまで惚れた者がいるのならば、まだ学生という立場ではあるが、一緒になってもよいと考えた。 自分の気持ちを素直に打ち明けることなどなかった尚人が、こんなにも正直に、素直に、一途に語る想いに応えてあげねばならないと、治尚は真摯に考え、まだ半年ほど戻らないつもりだったが、予定を変更し一時帰国を決めた。 何よりも愛する尚人を幸せにしたいと、その願いだけで。
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