06.初恋

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06.初恋

 怜央くんと最後までして、わかってしまった。  怜央くんのことが好きだ。  性欲を発散させるだけの関係にはなりたくないとはっきりと思った。最後までしておいて今さら気づくなんて遅すぎる。 「手島さん、おはよう。これお土産」 「おはようございます。……ありがとうございます」  出社してすぐに怜央くんに渡されたのは、小分けの袋に入ったバウムクーヘンだった。怜央くんは微笑むと、また違う人へ、同じものを渡す。  初めて最後までした次の日から、怜央くんは二日間出張だった。怜央くんは朝一で新幹線に乗って行ってしまったので、本当に丸二日顔を見ていなかった。おかげで夜は何事もなく、ぐっすり眠れることができた。 「手島さん、余ったからもう一個あげる」  全員に配り終えた怜央くんが自席へ戻ってくる。お菓子が入っていた大きな箱はほとんど空っぽになっていた。 「あ、ありがとうございます」 「二日ぶりだね」 「……はい」  怜央くんが何を言いたいのかわかる。でもここは職場だから言えないのだろう。  あれほど毎日のようにしていた行為が、2日間ないだけで寂しく感じていた。それは怜央くんも同じだったのかもしれない。もちろん彼の場合は、「性欲発散」という意味でだ。  その気持ちの違いが悔しくて、もうこの関係のままではいられない。
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