06.初恋

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「れ、怜央くんっ?」 「ようやく手に入れたのに、離すわけないでしょ」  ぎゅっと、苦しいくらい強い力で抱きしめられた。 「……離して。出てってよ」 「なんで俺を拒否するの?」 「……」  言えるわけがない。  身体だけの関係を求めてる人に告白なんて、できるわけがない。 「俺が嫌いになった?」 「……そうじゃないよ。でも、やっぱりこういう関係よくないなと思って」 「どうして?」 「……身体だけ、とか……私には無理だから」 「紗江は身体だけだって思ってるってこと?」  首を振りたかったけれど、そうなると気持ちがバレてしまう。だからといってうなずくことは絶対にしたくない。どうすることもできなくて黙ったままでいると、怜央くんの手が私の頬を包んだ。 「紗江……キスしていい?」 「え」  怜央くんの口から、意外な言葉が聞こえた。 「キスとか……しないんじゃなかったの?」 「んー、セフレはね。でも紗江は違うでしょ」 「……私は違うの?」  淡い期待を抱いてしまうような言い方。私は怜央くんを見上げた。 「紗江は、幼なじみでしょ」  すると怜央くんからは期待外れの答え。わかっていたはずなのに、何を期待してしまっていたんだろう。私は怜央くんから視線をそらしうつむいた。 「それと、俺の初恋の子」  頭上から、囁くような声が聞こえて、パッと顔を上げた。 「……え?」 「だから身体だけじゃないんだけど……だめ?」  怜央くんはうかがいを立てながらも、私の両頬を包み、ゆっくりと近づいてくる。  どういう意味?
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