Vintage

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 翌日も澄んだ青空が広がっていた。本番はテレビ電話で六華に私たちの姿を見せる予定になっていた。 「ボイパ流すタブレットと、テレビ電話用のスマホと、録画用のビデオカメラ、ちゃんと持ってきました」 「それ全部持てる?」 「スマホとビデオカメラは持てます。だけどタブレットまでは無理だから――」  そして風花ちゃんは、私の胸にタブレットを押し付けた。 「鳴海さん、兄の声、宜しくです」 「……うん」  メンバーが顔を見合わせて、含みのある笑みを浮かべたのが分かった。  何回か練習し、少しだけ太陽の位置が下がった頃。 「そろそろ母に連絡しますね?」  五人が作った輪の中心に立つ風花ちゃんの言葉に、全員が頷いた。  テレビ電話は病院で六華を見舞っているお母さんに繋がるようになっている。電話が繋がってすぐに覇気のない六華の姿が見えた。しかし私達と目が合うと六華は画面から消えた。向こうの画面が揺れ、お母さんの戸惑う声が聞こえる。  プライドの高い六華は、私たちが勝手に集まったことに怒り、見るのも聴くのも拒否しているのかもしれない。そのうち向こうの姿を映す画面は切られてしまった。その代わりかろうじて通話は繋っていて、こっちの姿は見えているはず。  もしかしたら繋がっているだけで、六華は聴いてはくれないかもしれない。良かれと思って歌おうとしていることも間違いなのかもしれない。不安になって目を伏せると、隣の真由子が手を握ってくれた。その目は、大丈夫だよって言っている。  そうだ、大丈夫だ。だって私達は、Vintageなんだから。  大丈夫、必ず届く。  必ず六華に、届けてみせる。
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