51人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
どちらからともなく真由子と手を繋いだ。温かさが繋がる。胸がジンとする。見回すとみんな手を繋いでいた。
左側の瑛大が私に手を伸ばしている。私はタブレットごと手を瑛大に伸ばす。瑛大と六華が繋がる。これで、全員が繋がった。
六角形に繋がった私達に、空からは優しく六華が降り注ぐ。
ああもう、勘弁してよ。
涙が溢れて止まらない。
思いきり冷たい空気を肺に送り込む。
曲が転調する。大サビは私がリードのまま続く。溢れる涙を零さないよう上を向く。届け、Vintage。六華に。そして、神様に。
神様、お願い。空から見てくれているのなら、どうか六華の声を返してください。六華は音楽が大好きだから。私達は六華の声が大好きだから。
まだ一緒に、歌いたいから。
誰からともなく手を離し、正面――スマートフォンを見据える。六華が見ていると信じて、全力で歌と想いを届けるんだ。風花ちゃんも頬に涙の線を描きながら、私達の中心で360度の動画を撮り続ける。
六華のパーカッションで曲が終わった。
私達には六華の姿は見えないけど、見ていてくれたかな。みんなで声をかけようと画面に寄ったら、六華の方から電話を切られてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!