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鳥道楽のお料理は、たしかに美味しかった。
どれをとってもお肉がジューシーで味付けも完璧。
リピは確定のお店、なんだけど。
「あ、徳利空きましたね。すみませーん、これもう1本くださーい。」
木田くんの飲ませるペースが早い…!!
あたしだって営業を丸2年やってて、飲み会はかなり参加してきたから、ちゃんぽん飲みもビールのイッキもそこそこ慣れてるけど、ハイペースで度数の強い日本酒を飲み続けるのは、きついっ…!
「き、木田くんも飲みなよ、」
あたしが言うと、木田くんは首を横に振った。
「お酌するのが後輩の役目ですから。先輩の盃を空にするなんて気の利かないことはしませんよ。ほら、どうぞ?」
新たに運ばれてきた徳利から、トクトクとあたしのお猪口にお酒が注がれて、やば…もう正直お酒いらないのに…。でも後輩の前で「もうギブです!!」なんてするのも抵抗があって、あたしはチビチビと盃を空けた。
先輩命令で木田くんに飲ませることも出来るけど、それで木田くんが潰れると、そのあとが面倒だし…。
ごはんもそこそこに、さっきから口にしてるのは日本酒のみ。トータルだと、あたし、もうどれくらい飲んでるのかな。日本酒の前にはジョッキのビール2杯に、ワインも飲んでるし、これ以上は……
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「潮さーん、大丈夫ですか??」
あれから、1時間後。
木田くんが、あたしの体をユサユサと揺すった。
「ん…だい、じょーふ……、」
呂律、回んないよぉ…。木田くんの方を見ると、木田くんはニッコリと笑ってる…。
「もうだいぶ飲みましたし、帰りましょうか??」
「うん、かえるぅ…。」
こういって立ち上がろうとしたけど、あたしの体はグラッと揺れた。
「ひぁ…!ごめん、きだくんっ…、」
酔いが足に来てる…。
倒れそうになったあたしの体を、木田くんはしっかりと抱き止めて、困ったように笑った。
「大丈夫ですか?立てますか??ほら、僕に掴まって。」
「んっ…、」
ふぇー…、こんなになるまで飲んじゃうなんて、恥ずかしいよぉっ……。
「きだくぅんっ…、ごめんね…?」
いつもならスラスラ言える言葉も、いまは舌足らずな状態。木田くんはあたしの体を支えてユルリと笑う。
「…大丈夫ですから。ほら、店を出ますよ。」
「んー……、」
…なんか、きだくんにいろいろカラダ触られてる気がするけど、頭ぽやぽやでよくわかんない…。
腰とか、胸とか…体を支える時に、こんなに触る必要あるっけ……
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