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「きだくんの、おうち?」
あたしは、舌足らずな言い方で木田くんの言葉を復唱する。木田くんはゆったりと頷いた。
「…そう、俺の家。潮さんのこと、丁寧に『介抱』しますよ?」
ペロリと舌舐めずりをした木田くんは、あたしの胸を下からぐっと押し上げるようにして、そのまま自分の方へ、あたしのカラダを強く引き寄せた。
介抱…されちゃうの…?
「やぁ…、」
あたしは力無く木田くんの体を押し返した。すると、木田くんはクスクス笑って、もう一方の手をあたしの下腹部にそわせる。
「潮さん、どうして?」
どうしてって、それは……
「あのねっ…、」
「はい、」
「あたし…、あたしっ…、
きょうごくんがだいしゅきだもーーんっ!!!きょうごくんでないと、イヤーーーーーッ!!!」
何かよくわかんないけど、テンションめーーーーーっっっちゃあがってきたぁああああああーー!!
「な、」
木田くんの顔が一瞬で凍ったけど、そんなのしらなーーい!!!!!!
「ねぇええええ!!!ちょっと聞いてよおおおおおおおっ!!!!あたしはきょうごくんのこと好き好き好き好き毎日言ってるのに、きょうごくんってば冷たいんだよおおおおっ、でもそこも格好いいから問題なーーーーーしっ!!ぎゃははははははははははははは!!!!!!!!!!」
「うっ、潮さん!?落ち着いて、落ち着いて下さいっ、ここ外っ、静かにっ、」
「はあぁああああああ゛あ゛あ゛ーーーっ!?きこえなーーーいっ!!!!営業がそんな声小さくてどーすんだっ、ちんこも小せーのかぁあ!!??もっと声だせーーーっ!!!あっははははは!!!!」
たっのしぃいいいいいいいいーーーーーっっ!!あたし、なんかよくわかんないけど、おもしろーーーーーいっ!!!!!!
「きょうごくんとこに帰るから、きだくんのおうちはいらなーーい!!!!きょうごくんっ、
あっ、
ねぇ、きいてええええぇえええ゛え゛!!!??
きょうごくんっ、ひどいんだよぉお!!??あたしが他の男と飲むって言っても全然平気そうな顔して嫉妬しないんだよおお!!!!???」
「それは俺のことですか…、」
「なんなのっ!!!??普通彼女が他の男と飲むって言ったら心配だよね!!!??いくらソイツがつまんない男だったとしても、一応ソイツ異性なんだからさぁあああああぁあ゛!!!!それなのにっ、それなのにいいいぃいいいいっ!!きょうごくんのばかああぁあぁあ゛あ゛あ゛っ!!!」
「藤原さん落ち着いてっ、え、わ、泣いてる!?え、もうまじ勘弁…、ほんとやめて…!!!」
「はぁああああ゛あ゛!!??勘弁って何よおおお!!あんた後輩の癖に生意気!!!!!馴れ馴れしい!!!下心見え見え!!!!分かんないとでも思ったか!!!年上なめんなよぉおおおお!!!」
きゃはははは!!!と笑うあたしに、回りの視線を気にして顔を青くする木田くん。
おもしろーーーいっ!!
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