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「ごめんなさい。気持ち悪いですか」
「違う。可愛すぎるんだ。俺が暴走したら春之なんて一晩で潰しちまうぞ」
「八紘さんになら良いです」
スルリと婀娜めいた仕草で、首に細くしなやかな腕が回される。
「だからっ」
苛立ち紛れに艶やかな唇を塞ぎ、中で蠢くぬるりとした熱を捕まえる。
「ん…ぅ……」
鼻に掛かった声まで艶めかしい。こんな慣れた仕草一つに苛立ちを隠せないでいる余裕のない自分に、八紘は呆れる。
濡れた音を響かせながら、八紘は春之の前を寛げ彼自身へと手を伸ばす。
「あッ」
ビクリと小さく背中が跳ね、一気に手の中のモノの嵩が増す。
熱を持つだけで乾いていた春之のそれは、次第に先端から溢れだした雫によって、くちゃくちゃと濡れた音を響かせ始めた。
「二度目だな」
「はぁ、ぅんん、っはぁ」
あの晩、名を呼ぶばかりで決して八紘を求めなかった春之。
抱けば春之が出て行くと確信していたのに、八紘は彼の熱を欲する事を止められなかった。
「愛おしいと言った俺を置いて出て行くなんて、憎いヤツだ」
「んぁっ、ぁぁ――っ」
言葉であの時の事を責めながら、密やかに蠢く蕾に手を伸ばす。
「あ、あ、あぁっ、やぁっっ」
ゆるゆるとその入口を撫で上げると、春之の呼吸が途端に速くなり、小さく腰が揺れ始めた。
「可愛いな春之。でも次、逃げられたら俺は立ち直れないんだよ。だから……」
八紘は一番聞きたい言葉を要求する。
春之の耳に直接吹き込んだセリフに、彼の背中がビクリと跳ねた。
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