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「な、にっっ、イヤぁ」
「嫌なら、余計にやれない」
その甘い声で。
切ない吐息で。
滾る熱で。
全てで、感じさせて欲しい。
「――欲し、い……八紘さん」
眉を寄せ、頬だけでなく体全部を朱に染め上げて、ようやく春之は八紘を求める。
「あぁぁ、ぅんっっ」
「まだ、指を入れただけだ」
くすくすと笑いながら、その忙しなく上下する胸に唇を寄せる。
そこを飾る可愛らしい赤に舌を絡めて転がすと、ぴくぴくと腰が浮いてくる。
「もっとか?」
笑いを含ませて軽く歯列で挟み引っ張りあげると、「ぅんんんんんっ」と背が弓形にしなった。
「春之、お前どうした? 前はこんなじゃなかっただろ」
酷くしたと、今度は歯型の付いたそこをチュッチュッと小さく吸い上げる。
「い、や、もぅ、だって、ヘンっ」
軽くイッてる状態なのか、春之の先端からは止めどない蜜がじゅわじゅわと溢れ、腰の下のシーツまでをも濡らしていた。
初めて抱いた夜の春之はここまで乱れた姿を見せてはくれなかった。それさえも彼が隠していたのかと、八紘は少し悔しく、淋しく思う。
「なに、コレ、知らなっっ……いっんっっ」
喜色と淫らな艶に染まる春之を見下ろしながら、八紘は更に指の本数を増やしていく。
「気持ちいいなら今夜は感じるままによがっとけ」
そう言った八紘を、春之はふと揺れる視線で見上げてくる。
「今夜、だけ?」
その壮絶に可愛らしい呟きに、八紘の理性は一気に吹っ飛んだ。
「バッカだな。お前、あんまり煽るな」
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