―花嫁ドロップ―

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 八紘の揺さ振りにその身を委ねながら、余す事のない快感に全身を震わせ、切ない言葉で自分を穿つ熱を追い詰める。 「そんな可愛いコト言われたら、出ちまうだろ」  焦る八紘に、顔を寄せキスを強請る。 「イクっ、から、僕も、ねぇ、あ、んぁっ、一緒に」  誘われるまま舌を絡め、汗なのか唾液なのか分からないドロドロの熱のなか、二人は一気に解放へと駆け上る。 「やぁ、イクっ、い、クッ、あぁぁぁ……くぅぅっっっ!」 「つぅっ」  果てた熱の滾りに互いの体が震えているのが分かる。  力なく被さった八紘の下で、後を引く快感の余韻に春之の体がぴくぴくと小さく跳ねていた。 「俺も春之が愛おしい」 「あ、はぁ、んん……――」  荒い息は未だに艶を含む。  春之の呼吸が落ち着くまでと、髪を撫で梳いていた。  優しいキスを贈ると、脱力しきって這い上がって来られない春之は、八紘の胸元に可愛いキスをくれる。  繰り返したそれも次第に無くなり、春之は八紘の腕の中で穏やかな眠りに落ちた。  安らかな寝息に八紘は堪らなく切ない想いで胸が痛む。  ずっとこの穏やかな時間が続けば良いと。  今までの春之の苦しみを、少しでも自分が包んでやれたら良いと。 「おやすみ」
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