*その9.チャマルの奪還(2)*

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 「リーチの短い剣で慣れないと思ったら、 よくそんな立ち回りをするな?」 ユージンがそう言いながら回ってきて、馬車の前で馬を足止めする。 「うーん。リーチは短いが小回りは効くな」 「捕らえた」 アントニオは彼らに銀の腕輪をかけた。 対魔の力を持ち、魔力を低下させる。 「すげー無傷で生け捕り、しかも魔法も使わせないで」 「ってか、チャマルの街の奴らも気づいてないんじゃね?」 アントニオは剣をしまった。 「そのほうがいい」 トンと馬車から降りると、馬を引いてそのまま商業会へ。 買い集めたものは全て、別ルートで商業会から 流れることになった。 アントニオは「偉いぞ」と借りた馬を撫でている。 ユージンが借りた馬と馬車を引いてきた。 「まだ油断できないよ。斥候が見張ってる。 奴ら、仲間が戻らないからきっと出てくる」 「(いぶ)し出しか。こっちも、こん競べだな」とユージン
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