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*その10.接触⑴*
その帰り、絶対に命を狙われるといった言葉が本当になった。
バザールの商業会を帰還する兵で護衛して、隊列を組む。
目指すは王都ノーザイル。
近隣の黒の森に差し掛かった。
大河ゴウドラを横断し、深いカラス峠の森を抜けたら王都だ。
彼らは王都にも出入りの商人たちだ。
森に入る。
きな臭い?
ドン!と地面が裂け火柱が走った。
森が炎にまかれる。
「商人を守れ!」
馬を飛ばした。
第1陣の帰還兵たちは、すでに森を出ただろうか?
ユージンの第4師団だ。
後方は俺も率いていた第2師団。
争い慣れない商業会員たちを守る為にも、機動力のある
俺たちが後方で守りを固めるように武装する。
黒の森は暗く、妖気が立ち込め視界が悪い。
しかも守りながらの戦局がこんなに厄介だとは思ってもいなかった。
「ユージン!」
端末の声が爆炎で消される。
いや、端末で話す間さえ惜しい。
「お前たちは商業会を護衛したまま、森を抜けろ」
「副指令はどうなさるんです!」
師団達がうろたえた声を出す。
「今の第2師団長はジンだ、奴に従え。
こいつらは俺が足止めする」
「森を抜けたらユージンに頼め、戻るのはそれからでいい」
「無茶です1人で‥?この数・・・」
「いいから!」
軽く20はいるだろうか?しかも包囲されている。
退路を断たれつつある。
「強力な魔導士を先に黙らせる!」
チャキッと鍔が鳴る。
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