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「イリスが・・・」
ひひーん!
アーサーの足が止まる。
本能的におびえている。俺は見た。
陥没したクレーターのような大地。
地面が大きく抉られたかのように、
そこには何もなかった。
「街が消えてる!」
騒ぎ出す師団に声を飛ばす。
「お前たちはここに居ろ」
嫌な予感がした。
噂はうわさであれと願った。
ユージンからの端末の声と、目の前の光景が答えを導き出す。
強い魔法陣を使った跡。
街そのものを消滅させるような。
イリスの街は無かった。
街と呼ばれていたものの、跡形さえ欠片もない。
「副指令いけません、まだ魔導士がいるかも・・!」
背の声に返す。
「対魔の剣は何も感じていない!」
魔力を感じると熱を持ち、教えてくれる対魔の剣。
それが何も感じない。
そう何もだ。
魔力を感じない。
でも1人で突入を試みたのは、まだそこに罠のように
魔力発動のトラップがあるかもという思いからだ。
とりあえず、1人でと思う俺を横から来たジンの師団。
先頭のジンが飛び出て俺を止める。
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