*その15.煩悶⑵*

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 ピピと他グループ回線をさらに大きく開いた。 「ユージン、ジン。聞いた通りだ、 お前達は城から離れろ。今どこだ」 『キングススクエアだ』とジン 『こら待てアントニオ、捕虜を逃したのか!』 とユージンが怒鳴る 「ただの人だ、問題ない。俺が判断した」 「だから城に離れてくれ、君は・・」とマリアに声をかける マリアは「もうどうなっても知らないけど! ちゃんと私を守ってよね」と叫ぶと超低空飛行でバイクを飛ばした 一方でアントニオもアーサーを飛ばした。 マリアのバイクは平行するように宙をかける。 「俺は先に城下に向かっている第1師団に合流する、 お前たちは出来る限り城から離れろ・・・」 『分かった』とジン 『待てよ、キングススクエアに集まった難民達をどう(さば)くんだ?』 ユージンが悲鳴を上げる 「城の兵と国家安全規範の警備兵、治安部隊、 騎士団からも城下の兵を全て回せ!」 とアントニオは馬を飛ばしながら通話する 『貴族エリアの私兵団も合理主義だ、 自分らも危ないとなれば兵を回すだろう。 それとユージン、兵学校の奴らも合流させるぞ』とジン 「だったら兵舎の訓練生にスクランブルを」とアントニオ 俺の指示をジンは素早く把握したようだ、 端末を見ると赤外線センサーで兵舎の兵が大量に動く赤い点になり波打つ 緊急事態アラームに重ね兵舎にスクランブルをかけたようだ 『そうか王の森で待機させて合流、城下に…か?』とさらにジンが言う。 さすが第7師団で第5、第4師団を展開させてたジンだ。 飲み込みが早いし、命令系統の指示や判断が的確で速い。 命令しなくても勝手に自己判断する。 ただしジンは、なまじ頭がまわるから無駄と分かれば早々に諦め 不利益な判断に逃げる難点がある。 つまり敵前逃亡。 あるいは俺の嫌うレーザーキャノンで死者が出ても壊滅させようと 危険な勝負に出る。 あれはあくまで威嚇用で対人兵器じゃない!
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