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第2話 黒コートの男
「やっぱり昆虫は地球を侵略しに来たエイリアンなんだーーー‼︎今起きた事ママに言おう、お兄ちゃん‼︎」
「ハハハ、バカだなぁミヨ、信じてもらえると思うか?」
「その指輪から、何か刀みたいな物を、また出せば良いでしょ‼︎アタシ後半薄らと記憶があるんだから‼︎」
「タクミ手品覚えたの〜、今度はハト出してみてよ〜って言われて終わりだよ」
「あ・・・あり得る」
「このオオクワガタムシの指輪を母さんに没収されて、また蜂女に拐われる方が危険だ。何かあったら俺が守ってやるよ」
「じゃあ明日一緒に帰ってよ‼︎また昆虫に襲われたら、絶対守ってよお兄ちゃん‼︎」
ほぼ24時間後、そんな会話をしていたミヨの前に危機が迫る。
学校の下校途中のミヨの前に、黒コートの男が現れたのだ。
「昆虫の化け物では無いけど、絶対にヤバい人だよ、もう春で暖かくなってきたのに、ガッツリ防寒だもの、もの凄い寒がりだよあの人」
ミヨは感が鋭い方では無い、が悪い予感の的中率は抜群だ。
「悪いが俺に付いて来てもらうぞ。」
黒コートの男の手がミヨに伸びる。
「やっぱり危ない人ぉぉぉ、お兄ちゃーん‼︎」
「待たせたなミヨ‼︎」
オオクワガタムシの指輪から刀を出し、颯爽と現れるタクミ
「お前蜂女の仲間か、またミヨを拐う気か、何が目的だ⁉︎色々聞かせてもらうぞ‼︎」
「指輪⁉︎・・・オオクワガタムシか・・・」
少し驚いた黒コートの男、だがすぐさまポケットから指輪を取り出す。黒コートの男の指輪から脇差程の刀が飛び出す。
自分以外にも昆虫の指輪を持つ人がいた事、同じように刀を出せた事、そして何より黒コートの男の持つ指輪の昆虫にタクミは動揺した。
「まさかスマトラオオヒラタクワガタムシ⁉︎」
「何で相手のあんな小さな指輪見て種類判別出来んの?私クワガタ全部同じに見えるんだけど、お兄ちゃんのクワガタと違うのアレ?」
昆虫知識ゼロのミヨは普段のようにタクミに質問する、その問いにタクミは焦った様子で答える。
「スマトラオオヒラタクワガタムシはクワガタムシの中でも気性が荒く最強と言われている、ミヨもしもの時は逃げ・・・」
タクミがミヨと話をしていると、黒コートの男がタクミの目の前まで近寄っていた。
黒コートの男の刀がタクミの体に近づく、何とか自分の刀で弾き返すタクミ
「危な⁉︎落ち着け、黒コートの刀の方が短いのだから、距離を取れば・・・」
しかし黒コートの男はタクミにピッタリとくっつき素早い攻撃をする、防戦一方のタクミ
「オオクワガタムシ‼︎このままじゃ妹を守りきれない‼︎お前の本来の力ならスマトラオオヒラタクワガタムシにだって負けないはずだ‼︎俺にお前の力の全てを見せてくれ‼︎」
オオクワガタムシの指輪は答えるように黒く光る、指輪から生物にも鎧にも見える物が出てきてタクミの右手に絡みつく
「いっっっけぇぇぇぇぇぇ‼︎」
タクミが刀を思いっきり振り下ろす、すると刀から衝撃波が放たれた。
「まさか、フュージョンか⁉︎」
驚きながらも衝撃波と刀を防ぐ黒コートの男、防ぎ切ったが黒コートの男の刀は指輪に戻っていく。
「いける‼︎お兄ちゃんいけるよ‼︎」
ミヨがタクミの方を見る。だが視線の先、煙の中に兄タクミはいなかった。
「あれ?お兄ちゃん?」
辺りを見渡し、空を見上げてミヨはやっとタクミを見つける。
「ウウウぅぅぅ・・・」
兄であるタクミはクワガタムシと人間の中間のような姿になり、何処か遠くへ飛び去って行ったのだった。
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