第3話 ニホンミツバチの指輪

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第3話 ニホンミツバチの指輪

「お兄ちゃーーーん‼︎カムバッーーーク‼︎」 何処かに飛び去る兄タクミ、いつの間にか逃げていた黒コートの男 1人きりになっていたミヨの叫び声が夕日に虚しく響いた。 家に帰り、真っ先に母に事情を説明するミヨだが母は、ふーんあらそうなのー、と気のない返事しかしない。 自分の部屋に向かうミヨ 「ママは普段から天然だけど、明らかに様子がおかしい、どうしてこんな事に・・・」 「実は私のせいなんです。あっお邪魔しております。」 ミヨが部屋のドアを開けると、そこには自分を誘拐しようとしていた蜂女の姿があった。 「ギャーーーーーーーーー!!!!!!」 「ギャーーーーーーーーー!!!!!!」 ミヨと蜂女2人の叫び声が月に激しく響く。 「ミヨちゃん、私に敵意は無い‼︎とりあえず蜂蜜でも飲んで落ち着こう‼︎」 「アタシを拐おうとしたクセに!?それに知らない人や変な人から、お菓子とか物とか貰っちゃ駄目だってママに言われているの‼︎」 「フフフ、ミヨちゃん私が普通の人間に見えるのかい?見えないだろう?つまりママさんの言いつけを破ることにはならないのだよ。ささ、安心して蜂蜜をお飲み」 「何という屁理屈‼︎だが一理ある‼︎」 このままでは兄タクミを助ける事は難しい、ならばこの怪しさ大爆発の蜂女を利用して情報を聞き出すほか無い、毒を食らわば皿までも‼︎いや蜂蜜飲むならコップまでも‼︎ミヨの目はそんな覚悟で満ち溢れている‼︎ 「蜂女全部話してもらうわよ、あなたは何者で、お兄ちゃんを含めて今何が起きているのかを・・・」 「私は、このお菓子の製造元の関係者、私達は昆虫と人間の特性を合わせ持つ究極の生命体を生み出す事が目的よ」 「お兄ちゃんがよく食べている昆虫の形したビスケットだね、そういえばクワガタの指輪はお菓子の当たりの景品って言ってた」 「選ばれた子供に配っているわ、ミヨちゃんのお兄さんも適性があって、お兄さんの力を引き出す為に私も戦ったわ。だけど今日の戦いお兄さんは昆虫が好きという思い、気持ちだけで次の段階に進んでしまった。幼虫がサナギにならずに成虫になってしまった感じね」 「このままだとお兄ちゃん、あなたみたいな化け物になるの⁉︎」 「誰が化け物じゃーーーい‼︎」 蜂女は立ち上がり持っている蜂蜜を飲み干す。 「だけど、今のままだとお兄さんが危険なのは確かね」 「ママに言おうとしたんだけど、ママの様子がおかしいのは、あなたのせい?」 「私の特殊なフェロモンの効果よ、今日の夕日の黒コートの男との戦いで目撃者がいないのも、私のフェロモンで人を遠ざけたからよ」 「誰かに見つかったら、あなた解剖とかされそうだものね」 「ええ、私まだ死にたく無いし、私や指輪の存在が世間に知られると色々と騒ぎになるからね」 今度はミヨが蜂蜜を飲み干す。 「それで、私を誘拐してどうしようっての?」 「ミヨちゃん‼︎実はあなたはお兄さん以上に適正があるの‼︎あなたはスペシャルなの‼︎今すぐ究極生命体になって敵と戦って‼︎」 蜂女はミツバチを模した指輪を取り出す 「敵と戦うって、あの黒コートの男と⁉︎ちょっ・・・近づけないでアタシ昆虫、特に蜂はダメなの‼︎昔蜂の大群に追われた思い出があって・・・」 「好きだからだよ‼︎だから追っかけたんだよ‼︎気づけよ‼︎鈍いんだよ‼︎」 蜂女はミツバチの指輪を加工する。ミツバチを模した指輪は、ミツバチと花が添えられたデザインの指輪になる 「あっ、ちょっと可愛い、ねぇ蜂どけて花だけにして、そしたら身に付けても良いよ」 「このニホンミツバチが売りなんじゃい‼︎何で最大のアイデンティティ取らなきゃいけないんじゃい‼︎」 ミヨは迷っていた。兄は助けたいがミツバチの指輪は付けたくない 「ホレホレどしたどした、兄ちゃん助けたくないんか〜い」 ミヨは迷っていた。兄は助けたいがミツバチの指輪は付けたくない 「ハイ‼︎ビビってる♪ハイ‼︎ミヨちゃんビビってる♪」 「うっぜぇぇぇぇぇぇ‼︎」 ヤケクソになったミヨはニホンミツバチの指輪を身に付ける。指輪から巨大な針が出てくる 「昆虫も蜂も大っっっキライなのよーーー‼︎」 巨大な針を蜂女の体に当てる‼︎ 「へぶしっ‼︎」 変な声を上げて、その場に崩れ落ちる蜂女 「す・・・素晴らしいわミヨちゃん、さすが私の見込んだ子・・・」 「ありがとう嬉しくないわ、でも今のままでお兄ちゃんを救えるのかな?」 汗だく引きつった顔をしながらミヨは首を傾げるのであった
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