晴の日に

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晴の日に

 9月15日その日は晴れの日だった。 北海道の秋には珍しく、暖かく空には雲一つない青空が広がっていた。  俺の名前は早川冬馬、年齢は二十七歳の一児の父と同時に一人の男でもある。  消防勤務の生活と家庭での生活に若干の不満を抱きながらも流されるがままにたびたびの我慢をしながら生活をしていた。  あなた、最近仕事どうなの?  妻の理恵が食べ終わった食器を洗いながら言った。  最近かー新入社員が3人入ってきたぐらいかなー、今何人かイベントの支援で人が少ないから俺が面倒見てるんだよー。  ソファーに座り、膝の上に息子の秋斗を座らせながら冬馬は答えた。  そうー、あっお風呂沸いたから秋斗と入ってきておいでー  妻にそう言われて冬馬は秋斗を連れて風呂場へ向かった。  夫婦関係はセックスレスなことを除けば、まあまあ上手くいってるのかもしれない。しかしながら我慢してる部分も歯痒い部分も多く、冬馬はこの日常に対してもやもやを感じながら過ごしていた。  あーこのままこの生活で歳をとるのが幸せなのかなー?趣味もなく、ひたすらにすぎてくこの世界に物足りなさを感じながら眠りについた。  その夜、夢を見た、新入社員の空田桜が出てきた。  桜は身長が小さく、笑顔が素敵な女性社員だ。広島弁の彼女はどんな仕事も一生懸命で周りの評価も高く、可愛いらしい女性だ。  夢の中での桜は別に何をするわけでもなく、ただひたすらに笑顔でいただけだった。  なんで、俺の夢に空田が出てきたんだろう?  冬馬はその不思議さに疑問を持ちながら、朝食を食べ出勤した。  朝、出勤しドアを開けると、そこに桜が出てくるところだった。  おはようございます  そして、冬馬の顔をチラッと見てにこやかに微笑んだ。  冬馬は若干の戸惑いを感じながら笑顔になり、心の奥のもどかしさを感じた。  ある日の金曜日、職場では、他社のイベントに多くの人員を差し出し、残ってるのは一部の社員のみだった。   部署は違うが冬馬と桜と他四名ぐらいで仕事をしていた。  ふと、冬馬は桜に聞いた、今週末どうするの?  今週は実家帰りますねー、父が駅まで迎えにきてくれるのです。  冬馬は車で職場に来ていたが、桜は近くの寮に住んでおり車を持っていなかった。  冬馬も寮に住んでいたころもあり、駅まではタクシーで2,000円ほどかかるのを知って、  じゃあ、駅まで送るか?と軽い気持ちで桜に言った。  いいんですか?桜は嬉しそうに微笑んだ。  しゃ 仕事終わりに冬馬は桜を迎えに近くの寮まで行った。 ありがとうございます! 桜はそう言って微糖のコーヒーを差し出してきた。 桜の服装はジーンズにグレーのコートでまだ初々しい感じで若干の幼っぽさを感じながら、それすらも桜らしいなと思いながら車を出した。 最近どうー? と仕事の何気ない会話をしながら駅まで向かった。 じゃ、また月曜日にね 楽しんでー! はい、ありがとうございました! 桜の無邪気な笑顔に癒されながらも冬馬は妻と子供の待つ家路に車を出した。 ゆっくりとゆっくりと 家に帰り、桜にラインをした、 週末楽しんでねー ありがとうございました! コーヒー好みじゃなかったらすいません この何気ない後輩とのやりとりに、新鮮な気分になりながらもこれ以上続けることはないなと思い、冬馬は携帯を置いた。 10月20日 冬馬は家で撮りためた録画しているドラマを見ていた。 あなた、また皿の汚れ落ちてないよー タオルの干し方も雑だし 何回言えばわかるの? 妻の理恵は最近本当に怒りっぽくなってる あーわかったよ ごめんね、そう言って冬馬は腰を上げ言われた通りにやり直した。 もともと、そこまで好きではないのに結婚したからなのか、もはや妻のことを愛せなくなっていたのを感じていた。 子供に対しても100%の愛情をもっているのかもわからず、生き方に迷走していた。 そして、浮気する気持ちに罪悪感がなかったのも確かだった。 実際に冬馬は4月ごろに浮気をしていた。 元カノの香里奈からラインがきて 旦那が浮気しているという内容だった。 実際に会って話を聞いていると 思い出話に花が咲きまた、女性特有の寂しさからなのか体の関係になり3ヶ月に1回ぐらい会うようになっていた。 9月10日 この日も妻には仕事といい有給を使い香里奈と会っていた。 行為を終えて、香里奈と話をしていた。 最近さー新入社員で可愛らしい子が入ってきたんだよねー 何気なく香里奈に話をした。 そうなんだー 話聞いてるともしかしたら冬馬に気があるのかもねー そう言って香里奈は笑いながら話題は旦那の愚痴へと変わっていった。 どこの家庭も同じのかなー と思い、旦那と離婚したら 俺と結婚するか? そう言って香里奈にキスをした。 そうだね、それもいいかもね そう言ってまた2人は体を重ねた。 もちろん、その言葉が本気だとは2人とも思っていないのを感じながら。 9月25日 仕事で桜と一緒だった。 この日は部署の引っ越しのために何人かで荷物を出して、車に積み込みをしていた。 休憩時間、タバコを吸いながら桜に話かけた、 桜はさー休み中何してるのー? 冬馬は軽く桜に聞いた。 全然やることないんですよー 友達も全然おらんしー 冬馬はそれを聞き、軽く答えた そうなんだー 今度ご飯でも行く? いいんですかー?、ぜひ行きたいです! 軽く社交辞令だと分かっていながらも、冬馬は嬉しく感じた。 じゃあ、ラインするわー! はい、ぜひぜひ! そんな会話をしながら、冬馬はより一層仕事に励んだ。 その夜、冬馬は夜勤で職場に残るため桜にラインした。 職場の話からプライベートだったり 思いの外盛り上がり、ラインすることが楽しみになってきたのは確かだった。 数日後、桜とご飯の約束の日 役所に用事のある桜を迎えに冬馬は車を走らせた。 桜は緊張しながらも嬉しそうに小走りで駆け寄ってきた。 ご飯まで時間があり、ドライブかでら近くの湖まで車を走らせた。 車内の会話はほとんどが仕事の話だった。 そこで桜の同期の愚痴をずっと冬馬は聞いていた。 湖に車を止め、桜が泣きながら訴えてきた。 ほんまにつらいんよー 同期が仕事もせんし、桜もどうすればいいかわからん、桜の目には涙が溢れ、冬馬はその瞬間恋に落ちていた、 気がつくと冬馬は桜にキスをしていた。 すごくすごく、優しいキスを 桜も拒むことなく受け入れた。 腕を背中に絡ませてきて 帰り道は桜は安心しきって車の中で寝ていた。 まだあどけない19歳の女性だ 辛いことを溜め込んで、自分から潰れるか弱い女性だ、 冬馬は決心した。桜を守る 本気で幸せにすると そこから、冬馬と桜は付き合うことになった。 既婚者と理解しながらも2人の将来を考えながら 何度かデートを重ねて、ある日始めて体を重ねた。 11月ながらも雪が降り頻る動物園に行き、カフェで食事をとってからだった。 初めてと言っていた桜に優しくリードして 痛いと言ってるなか、ひたすら大丈夫だからと言い、行為をした。 桜のこと捨てんでね 最中のその一言が冬馬を余計に盛り上がらせた。 絶対捨てるもんか、この先どんな未来があっても桜を見捨てたりはしないと、心に誓った。 家に帰り、妻に隠れながら桜とのラインしながら、職場では秘密のアイコンタクト それが冬馬にとって癒しであり、充実した日々となっていた。 クリスマスは少し遅れながらも26日に桜と過ごした。 お互いにプレゼントを買い、初めての泊まりで一緒に過ごした。 妻からのラインで子供が具合悪いから帰ってきてとの内容で、 桜に謝り家路に着いた時も桜は笑顔で送り出してくれた。 正月に冬馬は実家に家族で帰ってる間も桜とのラインはかかさなかった。 1番にあけおめのラインをして 来年は一緒に過ごそうと約束した。 年明けには旅館でのデートもした。 お互いに浴衣に身を包みながら、何度も体を重ねた。 本当に楽しく、幸せな時間だった。 それでも帰る冬馬を優しく送り出してくれる桜のことを考えると冬馬は辛くなった。 妻とは離婚するという決意は揺らぐことなく 桜との将来をただひたすらに考えた。 クリスマスプレゼントで桜にもらったショルダーバックは、にはお小遣いを貯めて買ったと嘘をつき外に出るたびに持っていった。 もらった手紙や初めてのプリクラは車の中に隠していた、そんな中、桜と家族の板挟みの冬馬は理恵に初めて離婚を考えていると告げた。 俺たちもうやめにしないか? 冬馬は理恵にそう口にした 理恵はそんなの絶対に嫌、 第一に子供はどうするの? そんな考えする暇あるんならもっと将来を考えてよ。 そう言い、寝室に帰っていった。 正論だった 確かに子供は大事だ、いつも無邪気な笑顔で手もかかるがそれでも自分達の子供だ しかし、妻の香里奈のことはもう恋愛と言う目で見れない、桜のことしか頭になかった このままの人生でいいのか? 葛藤した、でもそんなこと桜には言えない 心配をかけさせたくない そして、若い桜にこのままの関係を続けさせるのも不安だ ひとまず、焦らず進めよう そう思い、冬馬は背中を向けている妻と大の字で寝ている子供の横でそっと瞳を閉じた。
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