35人が本棚に入れています
本棚に追加
次の授業は、校内でも厳しくて有名な教師・尾山が担当だった。
四十代後半と思われる男性教師・尾山は元暴走族だったという噂があり、ふとした瞬間に凍てつくような厳しさと威圧感を見せるため、生徒の皆が恐れていた。
そのため、ついたニックネームは「鬼山」。
彼の前では、冗談や反抗的な態度は通じない。
ただただ重い空気が教室を支配し、授業を真面目に行儀良く受けることだけが求められる。
教科書や参考書はもちろん、予習や宿題を忘れようものなら、授業を中断しようが容赦なく厳しい叱責が始まる。
それは決して生やさしいものではなく、ルールを破る者には男女関係なく制裁がなされる、恐怖の儀式のようだった。
それを恐れ、どんなに怠け者で生意気な生徒でも、念入りの準備をして授業に臨むのだった。
授業が始まる直前、緊張感の漂う中、ユリカを呼ぶ必死な声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!