第4話

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次の授業は、校内でも厳しくて有名な教師・尾山が担当だった。 四十代後半と思われる男性教師・尾山は元暴走族だったという噂があり、ふとした瞬間に凍てつくような厳しさと威圧感を見せるため、生徒の皆が恐れていた。 そのため、ついたニックネームは「鬼山」。 彼の前では、冗談や反抗的な態度は通じない。 ただただ重い空気が教室を支配し、授業を真面目に行儀良く受けることだけが求められる。 教科書や参考書はもちろん、予習や宿題を忘れようものなら、授業を中断しようが容赦なく厳しい叱責が始まる。 それは決して生やさしいものではなく、ルールを破る者には男女関係なく制裁がなされる、恐怖の儀式のようだった。 それを恐れ、どんなに怠け者で生意気な生徒でも、念入りの準備をして授業に臨むのだった。 授業が始まる直前、緊張感の漂う中、ユリカを呼ぶ必死な声が聞こえた。
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