35人が本棚に入れています
本棚に追加
第5話
「そこの2人、どっちか教科書忘れたのか?」
起立・礼が終わってすぐ、やはり目立つのか、凄みのある低い声で尾山が指摘し、舌打ちをした。
「…すみません、僕が教科書忘れて、森山さんに見せてもらってます。」
焦って起立し、答える佐藤。
皆の同情と哀れみの視線が集まった。
「佐藤か。分かった。家でちゃんと復習しろよ。次は気を付けろよ。」
「…はい。」
怯え気味に下を向いていたユリカは、驚いて顔を上げた。
周囲もざわめいている。
そして、何事もなく授業は終わった。
最初のコメントを投稿しよう!