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そして佐藤が言った。
「森山さん、始業式の日、外でぶつかったの覚えてる?」
「え?うん。なんかそんなのあったかも。」
「あの時ぶつかったの、俺だったんだけど知ってた?」
「…桜の木の所でだよね。佐藤くんだったんだー。知らなかったよ。やだ、ごめんね…。」
「あの時、何やってたの?」
「えっと…、桜の花びらを取ってたの。もうなくなっちゃったけど…。」
少しの間を置き、気まずそうにユリカは答えた。
不思議そうな表情の佐藤に、ユリカは耐えかねて言った。
「桜の花びらをね、地面に落ちる前に取ると幸せになれるらしくて取ったの…。ちゃんと取れたから…。」
驚きつつも、佐藤は静かに笑った。
佐藤につられ、ユリカも恥じらいつつ笑った。
「森山さんておもしろいね。」
「おもしろい?そんなことないよ…。初めて言われたよ。」
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