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無言の時間が痛かった。
吐き気すら催しそうだった。
目を合わせるのにも勇気がいる。
もはやユリカは、走ったから苦しいのか、佐藤を前にしているから苦しいのか分からなかった。
とにかく胸が締めつけられ、呼吸がうまくできなくなっていた。
「…じゃあ私、戻るね。ありがとう。また来ることがあったら、よろしくね。書類、ちゃんと渡しとくね。」
そのまま持ってきてしまった封筒を、佐藤に見せる。
…よろしくって何だろう。
もう、あの頃の私達ではない。
すでに、遥かずっと前に終わったこと。
もう、とっくの昔に忘れていたこと。
もしかしたら、始まってすらいなかったのかもしれない。
せっかく忘れられていたのに…なんで今?
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