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人生のほんの一時に、青春という淡い輝きをくれただけの人。
宝石のように美しい、心の奥にしまっておいた、小さな小さな宝物。
でも、どこかに行ってしまった。
砕けてどこかへ消えてしまった。
それでも、もうそれでよかった。
そんなことすら忘れていた。
仲の良かった、高校時代のクラスメイト。
ただの、昔好きだった人。
きっと、一瞬だけ私を好きでいてくれた人。
そして、変わってしまった人。
心が通じ合わなくなってしまった人。
離れていってしまった人。
…もう、生きる世界の違う、過去の人。
精一杯の、仕事用の笑顔を向けて踵を返す。
何も言わない佐藤は、最後に会った時と同じだ。
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