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肩がすくみ、顔が歪む。
たまらず目をつぶるユリカ。
…でも、そしたらなぜ私は、ここまで走ってきたんだろう…。
そして、私が彼にとって何でもない存在だと宣告されたあの日。
私が心の奥底から叫んだのと同じ、「待って」という言葉。
今度は彼が発している。胸が抉られる。
こんなことまで思い出さなくていいのに。
重苦しい感情が胃のあたりからとめどなく溢れてきて、立っているだけで一杯だった。
もう傷つかない。悲しまない。何もないから。
彼がいなくたって生きてこられたんだから…。大丈夫。
もう大人なんだから。
口の内側を噛みしめながら振り返り、恐る恐る目を合わせた。
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