第50話

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肩がすくみ、顔が歪む。 たまらず目をつぶるユリカ。 …でも、そしたらなぜ私は、ここまで走ってきたんだろう…。 そして、私が彼にとって何でもない存在だと宣告されたあの日。 私が心の奥底から叫んだのと同じ、「待って」という言葉。 今度は彼が発している。胸が抉られる。 こんなことまで思い出さなくていいのに。 重苦しい感情が胃のあたりからとめどなく溢れてきて、立っているだけで一杯だった。 もう傷つかない。悲しまない。何もないから。 彼がいなくたって生きてこられたんだから…。大丈夫。 もう大人なんだから。 口の内側を噛みしめながら振り返り、恐る恐る目を合わせた。
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