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その眼差しは、確かに、ユリカに寄り添ってくれていた時のものに似ていた。
心のバリアが溶けて崩れ、温かい何かが胸いっぱいに広がった。
頬が勝手に緩み、口角が上がる。
予想外な自分の反応に戸惑うユリカ。
言いたいことはきっとあったはずなのに、言葉が出ない。
佐藤の前では、肝心な時ほど、いつもこうだった。
高校生の頃の、あの淡い苦しさとは違うし、最後に会った時の絶望とも違う。
「…佐藤くんは?…元気?」
恐る恐る尋ねた。
「うん。元気。」
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