第51話

3/5
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
「必ず連絡してよ。じゃあ俺、もう行くから。…またね。」 「…うん。ありがとう。…またね。」 そのまま佐藤は、地下鉄の駅に続く下りエスカレーターに乗り、見えなくなった。  相変わらず、後ろは振り返らなかった。 一瞬の出来事のようだった。 でも、「またね」と言った。 次がある。次につながった。 …静かに強引なところ、全然変わっていない。 そんなつもりはなかったかもしれないけど、そうやって私を掬い上げてくれた。 きっと同じようにして、夢や目標を掴んできたのだろう。 そして、他の誰かも掬い上げてきたのかもしれない。 そういうところが大好きだった。 それゆえに悲しいこともあったけれど。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!