第51話

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図らずも、止まっていた時が動いたかのようだった。 忘れていたのに。たかだか10代の子供の一時の恋だったのに。 喜びと戸惑いを胸に、心の中でユリカはつぶやいた。 「懐かしいなぁ…。」 痛みすら、懐かしいと思えた。 そして、手元にある、佐藤の最新の痕跡。 とても愛おしく温かく思えた。 ******** 仕事を終え、数時間前に佐藤と言葉を交わした場所でユリカは立ち止まった。 その後大きく深呼吸をし、姿勢を正して家路に向かった。 そして、帰宅して佐藤にメッセージを送った。 『送信』を押す時の緊張感が懐かしかった。
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