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第52話
それから2日後、ユリカは西沢との定例面談に臨んだ。
執務スペースの端にいくつも設けられた、窓際の打ち合わせ用テーブル席のひとつに西沢はいた。
オフィスビルの25階。外はよく晴れて、遠くの森がうっすらと萌葱色に染まっているのが見えた。今だけ見られる特別な初春の景色だった。
ユリカが訪れると、西沢はにこにこしながら話を始めた。
「森山さんお疲れ様。今日は早速、今月の振り返りから聞こうかな。」
名字で呼ばれたので、やはり真面目な話だと分かったユリカは、やや緊張した面持ちに変わった。
淡々と、業務の話が続く。
西沢からの問いに、必死に食らいついていくユリカ。
目標も夢もお金もキャリアもないけれど、ひとつひとつの事に真摯に向き合っていけば、きっとその先に何か見えてくるかもしれないと信じている。
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